久々に経済の本を購入しました。
大前研一世界の潮流2018〜19
大前研一氏が今後の世界情勢と日本の最新情勢、経済を詳しく予測されています。
読みやすく、詳しく、世界の政治、経済情勢を網羅
一日で読み終わるボリュームながら内容が濃く、最新の政治情勢から経済情勢まで網羅されています。
下手にこむずかしい経済本を読むよりも、この本を一冊読んでおけば、ニュースで話題になっている問題の意味が理解できると思います。
本の中で特に興味深かったのが、
日本はこのままいくと、今後400年間、ポルトガルやスペインのような没落国家になる、ということです。
おそらく日本はこれから先もパニックにならず、
整然と美しく、
デモも起きず、
衰退国家の道を歩んでいくのだろう。
裏を返せば、
21世紀型にリシェイプしたいと考えている人にとっては、
まだ時間があるということだ。
引用:大前研一 世界の潮流2018→19より
世界で独裁が続いている
北朝鮮、中国の独裁政権はもちろん、日本やアメリカの独裁色も強まっています。
さらに最近はドイツまでもが、社会主義に傾きがちなのは意外でした。
ただし、EUなど他の先進国は民主主義を維持していますし、アメリカの独裁ぶりを敵視している国も多く、揺り戻しがくる可能性は十分あるようです。
特にトランプ大統領の就任期間は長くない、との予測も。大統領にベッタリな安倍首相は対抗馬がいない、という理由だけで存続される可能性もあります。
そうなると憲法が改正されてしまい、99条のナチスの手口を使われ、独裁国家が誕生し、何が起きてもおかしくありません。
アメリカやユーロ圏では賃金が二倍、日本はマイナス5%
1995年から2016年までのデータで、アメリカ、ユーロ圏の先進国の名目賃金が2倍になっているのに対し、日本はマイナス5%という衝撃的な結果になっています。
他の国では暴動が起きてもおかしくない状況だと指摘されています。
それでも暴動が起きない理由は、
- デフレが続いて物価も安いので、何とか暮らしていけるから
- 文部省が国家に逆らわないよう、国民を厳しくしつけてきたから
だと言います。
確かに、100円ショップの充実ぶりや、イオンや各大手スーパーではお手頃な価格でモノや食料品を手にすることができます。
収入が減っても、埋め合わせできる、という面はありますね。
反対に、100円ショップや大手スーパーがなくなったら、どうなっちゃうんだろう・・という不安もあります。
新卒一括採用、同一初任給は時代遅れのシステム
今の日本では、新卒の初任給が20万円前後で、どの業界、求人に対しても固定されていることが多いです。
海外のグーグルやファーウェイのように、新卒者にいきなり40万~160万円という月収を提示する会社が異例に見えます。
しかし世界標準では、日本のように新卒一括採用で、能力に関わらず、みんな同じ初任給、という極端な均一化の方がめずらしいのです。
外国では新卒でも中途採用でも、能力のある人なら、好待遇で迎える、というのが基本です。
そのため優秀な人が海外の企業に流出してしまう、という損失が起きていると指摘されています。
日本では主にホワイトカラーの労働生産性が低いのが特徴です。
安倍総理が打ち出している「生産性革命」は、効率が悪く賃金の高いホワイトカラーの仕事をAIに代替えさせられる、というメリットがある反面、大量の失業者を生み出す可能性もあるそうです。
まさに今後のAIによる失業問題でよく言われていることですね。
大前氏はさらに「同一労働、同一賃金」という政策は、閉鎖国だけがやることで、全体の賃金レベルを落とし、ベトナムと同じ程度になってしまう、と警告しています。
確かに、同一労働、同一賃金は共産主義の国がやることですね。(回避するには成果、能力性が取り込まれることが必須)
独裁政権を目指している現政権にとっては、そこが目指す所なのでしょうか。
非正規と正社員の格差を埋めるのではなく、生産性の悪い仕事、かつ高賃金の正社員を解雇しやすくする、という企業側へのサポートと、解雇された社員を国が再教育する、という方針を薦めています。
国債は本気でやばい。いつハイパーインフレが起きてもおかしくない
また国債については、私も以前の記事で書いていましたが、大前氏も同じことをおっしゃっています。
つまり今の債務残高から見て、いつデフォルトしてもおかしくない状況であり、今からプライマリーバランスをとることは不可能であり、
ある時、突然ハイパーインフレや徳政令により、無(チャラ)になる可能性が高いそうです。
そうなると国債を持っている人が損をするのはもちろんですが、ハイパーインフレが起きると、通貨の価値が半分位までに下がり、日本人全員のお金が半分、政府に横取りされます。
つまり一万円が五千円の価値になってしまうので、100万円あっても事実上、50万円になります。
まさに旧ドイツが歩んできたような流れです。
ただし、通常のインフレでは物価スライドで銀行預金分のインフレ率は調整されます。
しかし、徳政令やハイパーインフレとなると、強制や混乱という緊急事態なので、それらのの秩序が通用しません。
大前氏は「後世の世代に借金のツケを残すよりも、現役世代が痛みを持って責任をとってあげた方がいい」と書かれています。
確かに後世の人のことを考えると、預金が半分になってでも、今、国債問題を解決した方がいいのかもしれません。
ただ生活が苦しい人にとっては、低賃金、長時間労働でやっと貯めたお金(預金)を、ある日突然、半分政府にとられてしまう、という痛みはかなりのものだと感じます。
今、かつてない厳しい道徳教育や愛国心を植え付けようとしているのは、このような緊急事態宣言による、政府によるお金の横取りに対し、暴動が起こらないようにするためなのですね
お国のためなら、欲しがりません、我慢します。という民主主義国家では考えられないような、共産主義思想が政府側からは必要なのでしょう。
安倍政権の「人づくり革命」の投資先は的外れ
大学、幼稚園、保育園の無償化よりも、イノベーティブな人材育成とリカレント教育に財源を使うべき、とされています。
今後は独自で新しい経済を生み出すような(イーロンマスクCEOのような)尖った人材を育成すべきであり、21世紀に通用するスキルを身に着けられない教育を無償化しても意味がない、そうです。
他にも世界の情勢について、興味深いお話が沢山ありましたが、長くなるので詳しくは本をご覧になることをオススメ致します。
世界全体で言うと、カネが市場に余り、株式投資などに集まりやすいが、市民の消費欲が低く、低欲望社会であることは世界共通だと書かれています。
あくまでも予測であり、参考資料にする
大前研一氏は世界でも認められている、著名なコンサルタントです。
しかしそれでも、この本の内容はあくまでも個人の見解にすぎない、という認識で読むべきだと感じます。
私の場合読み終えてから「こういう考察もある。自分はどう思う?」と自問し、答えは保留にしておきます。
色々なことが起きる度に、その問いへの答えとなるヒントが提示されるので、答えは時間を得てからまとまることが多いです。(出した答えも状況や時代に合わせて変化しますが)
現状のまま進んだ場合、私が予測する未来
本書を読み終えた私の感想として、日本は今後、先進国から離脱し、安倍政権の作る「共産主義国家」になり、国民同一賃金で、現在のベトナム程の賃金が普通になるのだと思います。
政治情勢でも、日本は蚊帳の外で、他の経済力があり、自由市場の民主主義国家が華々しく活躍するのでしょう。
国民の財産は徳政令やハイパーインフレで政府に半分位は献上し、金持ちも庶民もあまり差がなくなります。(みんな貧乏でみんな幸せ?)
国民の自由意思は拘束され、かつての東ドイツのような閉鎖的な国になります
2020年以降の具体的な流れ
- 2020年以降、憲法改正が成立
- 早速98、99条の「緊急事態宣言」を発動
- 徳政令を出し、国債がチャラに。
- 国民の貯金も没収。(マイナンバーでしっかり監視)
- 暴動が起こらないよう、愛国主義教育を徹底済み。
私はこの本を読むまでは、日本はハイパーインフレを起こすことで、実質的に貯金を没収する可能性が高いと考えていました。
しかし、実際にハイパーインフレが起きると、国内は大混乱し、愛国教育をしても、さすがに暴動は避けられないと思います。
その代わりに(ヒトラーのナチスの手口の模倣である)憲法草案98、99条の緊急事態宣言を発動し、国民の財産を半分位差し押さえる可能性もあると感じています。
緊急事態宣言を発動すれば、首相の発言=法律となるので何でもできます。
国民に「ハイパーインフレになるよりはマシだ!国の危機なのです!」という説得(洗脳)をしてから、「みんなでお国のために協力しましょう!」という集団的空気感を作り出し、静かに没収に協力させられる、というシナリオもあり得ます。
そのため、外貨預金や外国ファンドの投資をしておけば、なんとか安心、とは言い切れないと思います。
ただ、この本で大前氏が書かれていたように、外国人投資家が日本の国債のやばさにフォーカスし、円が一気に暴落し、結果的にハイパーインフレになる可能性も十分あると思います。
どちらにせよ、外国紙幣をタンス預金しておくのはアリだと感じます、
・・これは、あくまでも現安倍政権の時代遅れな政策が続いた場合です。
政権交代が起これば、このシナリオは免れるし、立憲君主制も破壊されずに済むと思います。
社会は変則的、意識が変われば危機も回避できる
私は以前、経済情報誌を毎月購読していました。
そこでは各種有名なエコノミスト達が、今後の経済を予想していましたが、その後答え合わせをしても、確実にすべてを当てている人は、私の知る限り誰もいませんでした。
あくまでも現状のまま変化がなければ(現状の政策が続けば)という前提の話にすぎません。
変則的な事態は常に起こるし、将来を予測してあらかじめ危機を回避する、という合理的な行動も、人間はとることができます。
大前研一氏が言うように「企業も市民も、危機感が足りない」
現状はそこに尽きるのだと感じます。
今だけ乗り切れればいい、今は大丈夫だからいい、という姿勢ではなく、自分自身も常にアップデートし、時代に対応し、動向に注意を払う、という学びの姿勢を持ち続けることも大切なのだと感じました。
ちなみに今は続巻が出ています↓