先日本屋さんで試し読みして、面白そうだったので購入しました↓
「精神科ナースになったわけ」の内容
母親を亡くし、心が壊れかけた主人公が精神科の仕事に興味を持ち、精神科のナースになります。
実際に働く現場が書かれていて、
- 精神科の病棟がどんな風になっているのか?
- 患者さん達はどのように過ごしているのか?
がリアルに描かれています。
精神科を扱った本は、昔こちら↓の小説で読みました。(映画版はまだ観ていません)。
思春期病棟の少女たち (草思社文庫)
「精神科ってどんなところ?ヤバイ感じなの?」という好奇の視線ではなく、実際の患者さん達の心の内に寄り添うなような繊細な内容です。
おかしな行動に見えても、
何か理由がある。
上辺だけ見ないように、
その人その人の理由を探そう。
グッとくる言葉も多くて、泣けるシーンも何か所がありました。
”狂う”とは何だろう。
狂ったらどうなるんだろう。
どうやったら「治る」んだろう。
私は
狂ってるのかな。
この精神病院で考えてみようと思う。
引用:精神科ナースになったわけ(コミックエッセイの森)
境界性人格障害について
この本に描かれている境界性人格障害の方は主に、自傷行為を行ったり、うつ病になったり、と自己否定の方向へベクトルが向かいがちな方が多かったです。
しかし自己愛性人格障害という種類もあるように、ベクトルが自己尊大に向かうケースもあります。
自己否定系の特徴
- 自分なんてダメ
- 自分は愛されていない
- 自分には何もできない
という強烈な無価値感という悲しみのエネルギーが原動力です。
自己愛性の特徴
- 自分はこんなものじゃない!
- 自分には誰にも負けない価値がある
- おまえらなんかに従うか!
という強烈な自己尊大意識という怒りのエネルギーが原動力です。
どちらも等身大の自分や、自分を取り巻く環境が受け入れられない苦しみによって作られるものです。
「等身大の自分」が受け入れられない病
等身大の自分、というものが受け入れられないために常に、サイコーの自分とサイテーの自分、しか存在していない状態が自己愛性人格障害の特徴です。
否定系は鬱病や自傷行為などの症状となり、日常生活に支障をきたすことが多く、わかりやすいです。
一方、自己愛性については病的な症状がないので、なかなか気づかないケースも多いと思います。
しかし実は、競争社会の現代で、自己愛性人格障害の傾向がある人は案外多いのではないかと思っています。
ちなみに完璧主義は自己愛性と自己否定系のコンプレックス型だと思っています。
この本に書かれている他の妄想や幻覚症状の患者さんも、根本原因は自己否定であり、自己否定感による寂しさが見え隠れしているような気がします。
(もちろん幻聴や幻覚は病的ですので、脳に障害がある可能性もあります)。
対処すべきポイントは過去ではなく、現在の習慣だ思う
例えば「昔、家族に虐待されたらから、今も寂しい」という繋げ方があります。
しかし私は、虐待されたこと自体よりも、その頃に染みついた自分への否定的な見方が現在も維持されているのが原因だと考えています。
自分への否定的な見方を後生大事に抱え込み、何度も何度も正当性を与える、という継続的な否定癖が原因なのではないかと思うのです。
つまり自己否定癖をやめれさえすれば、寂しさも消え、安定してくるということです。
極端かもしれませんが、自己否定系のうつ病や自傷行為等で苦しんでいる人は、誇大な自己意識でもいいので、とりあえず「冗談じゃなーいっ!!(゚д゚〆)」と怒ってみるものアリだと思います。
周囲の人に当たり散らすのは、やめたほうがいいと思いますが、自分に対し、何かイラっとすることを言ってくる人がいたら、しゅん、となるのではなく、
激しく言い返してやる位の(心の中でもOK)エネルギーを燃やしてみるのもいいと思います。
「終わらせる」という固い信念
この本では、自ら命を落としてしまう患者さんのケースも描かれています。
私の友人も過労によるうつ病で、20代で自ら命を落としました。
この本に書かれているように、本当に決意した人は、消える素振りを周囲に見せないことが多いです。
強い決心があります。
用意周到に、綺麗に身の回りを整理して、一枚の紙きれを残し、旅立ってゆきます。
特に鬱病の方は、自分を責める傾向が強く、遺書にも恨み言はひとつも書かれていなく、何が原因だったのか本人にしかわからないということもあります。
私の友人の遺書には、「誰のせいでもない。ただ生きていく希望が見えないのです。迷惑をかけてごめんなさい。」とだけ書かれていました。
きっと原因は沢山あったはずなのです。
まとめ
話が脱線しました。(漫画の内容は私が説明するよりも、実際に読んで頂いた方が100倍面白いです☆)。
ほとんどの人が知らない「精神科の病棟」という世界。
普段は意識しないけれど、
- 何か変化があった時
- 何か大きなショックが重なった時
- プレッシャーで押しつぶされそうな日々が続いた時
誰でも入り込む可能性が否定できない場所だと思いました。
実際に患者さんの多くは、大きな変化やストレスが重なった時をキッカケに初めて入院する、というケースも多いです。
薬物療法や治療法については、あまり詳しく描かれていなく(治療法も医師によりさまざまであるようです。まだまだ未知なのですね)
ひたすら患者さんの心と真摯に寄り添った主人公の視点が印象的です。
絵も癖がなく、文章も簡潔で、気軽にサクっと読み終わる長さなので、通勤や隙間時間の読書にもオススメ。
素敵な本でした(*´ω`*)すでに重版されてるみたいだし、続編もぜひ期待ですね!
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— hitomi (@hitomi61178496) April 9, 2020
複数アカウントあるから 続けられるかわからないけど とりあえず3ヶ月はやってみる。